ただ愛されたいだけなのに

6.



   —講師が二人と生徒が二十人—


 わたしは首を沈めて、退屈な時間を我慢強く過ごしていた。
 グータラな生活を二週間も過ごしたせいで、今朝はかなりきつかった。早起きほど、子供っぽく地団駄を踏みたくなる嫌なことはない。

 開会式が始まって十五分、わたしはすでに辞めると決意している。同級生が全員年上で、わたしを除く女の人は、おばさんばかり。男性は五人ほどで、若く見える人もちらほらいるけれど——それでもわたしよりは年上——絶対に馴染めない。もしかすると、ここはカフェ・レストランよりも居心地が悪いかもしれない。

「それでは、講師の紹介をいたします」
 さっきから偉そうに訓練生の心得なんかを説明していたおじさんが、教卓から横へずれた。
「おはようございます」
 偉そうなおじさんと似たり寄ったりのおじさんが教卓に立った。
「えー、わたしは横川悟と申します。わたくしはビジネスマナーや、就職に向けての必要最低限の知識を皆さんに伝授いたします」

 へー。ふーん。ほー。


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