私の中におっさん(魔王)がいる。~黒田の章~
第三章・芽生え
 私は昨日買ってもらった服を、ベットの上に並べた。
 昨日買った服は五着。靴下やパンストが五足。靴が一足。パジャマが一着で、計十二着だ。
 クロちゃんはもっと買えば良いのにって言ってたけど、そんなに買ったら後で返すのが大変そうだもん。
 
 一着目は、紺色の長袖のワンピース。
 スカートの裾や、首まわり、袖に黒いレースがついていて、上品な感じ。丈はやや長め。

 二着目は、白いブラウスと、黒いカーディガン。それと、裾がカボチャのようにふんわりと丸くなっている半ズボン。これは、店員さんが持ってきた物だったりする。やっぱり一着は選ばないと、店員さんに悪いもんね。
 まあ、可愛くて気に入ったのも事実だけど。

 三着目は、Aラインの長袖ワンピース。膝上くらいの丈で、色は淡い水色。袖と裾に白のラインが入っていて、胸元に大き目のリボンがついていた。

 本当は、色々着まわせそうなセパレートが良かったんだけど、そうすると、数を買わなければならないから、一枚で着られるワンピースを多く選んだ。

 生地自体がしっかりとして厚みがあるので、今の季節でも一枚で大丈夫そう。カーディガンがあれば、もう少し寒くなっても着られそうだし。

 パジャマはネグリジェ。こんなの着たことなかったけど、女の子女の子してて可愛い。
 ……似合うかどうかは別として。

 靴はパンプスを選んだ。本当は情報収集に歩きに出るかもしれないから、カジュアルな感じの靴か、運動靴が良かったんだけど、さすがにああいうところには置いてなかった。
 美章では家でも土足なので、家にいる時は履き慣れたローファーを履くことにした。

 しばらく並べた服を眺めて、

「よし、これにしよう!」

 私は、三着目のワンピースを手に取った。
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