溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を
18話「本当の繋がりとキスと」





   18話「本当の繋がりとキスと」





 「花霞ちゃん………。」

 
 突然の花霞の言葉に彼は驚いた顔を見せた。
 それもそのはずだ。
 あんな事があり、本当ならばショックを受けて泣き続けているはずだった。
 それなのに、彼への想いが溢れ出て止まらない。今、言わなければいけない。

 何故かそんな気がしたのだ。
 

 「自分でも都合がいいと思ってる………。期間限定の恋だったはずなのに、椋さんの優しさとか温かさに触れて、いつの間にか惹かれていたの。……椋さんに「好きだ。」って言われて、戸惑うよりも先に嬉しさを感じたんだ………。それが恋なのか、まだわからなくて。恋人と別れたばっかりだし、ありえない結婚のはずだから、この気持ちは違うって思うようにしてたの。」


 泣きはらした目は真っ赤になっている。
 きっと酷い顔になっている事だろう。
 けれど、花霞の言葉は止まらなかった。


 「でも、なくしてしまった指輪を見つけた瞬間。これで、椋さんとまた一緒に居られる。だから、早く会いたいって思ったの………。」
 「…………。」
 「あなたが大好きで、仕方がないの。ずっと夫婦で居たい………。」



 最後の言葉は小さくなってしまった。

 言い終わる前に、花霞の体は椋に引き寄せられ、あっという間に彼の胸の中に閉じのめられてしまったからだった。
 突き放されたわけではなく、彼が抱きしめてくれた。それだけが嬉しくて、花霞は彼の胸に顔を埋めた。


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