キミ、が欲しい
【キミ、との軌跡】




「おはよー、ハル」



「おはよー、星那」



久しぶりの制服姿。
久しぶりの通学路。
「星那おはよー」と学校の最寄り駅で麻衣子と梓に落ち合う。



「あー!桜庭、髪…!」



「エヘヘ、染めました」



少しオレンジがかった栗色。
また従兄弟に頼んで格好良くしてもらっちゃった。
皆にも好評だね。



「それより梓、おめでと。拓海に告られたんだって?」



拓海とはあれ以来だけど、何かと梓に相談してたみたいでそのうち気になる存在になったとか。
冬休み中、猛アタックする!って意気込んでたから結果上手くいったみたいで良かった。



「うん……何かそうなっちゃいました」



恥ずかしそうに笑う梓に皆が今度は祝福の猛攻撃。
あぁ、梓推しだった田村くんは撃沈するんだろうな。
頑張れ、D組男子。



進級しても学科ごとに分かれてるからクラス替えはなし。
特別進学クラスの私もそのまま2年A組となった。
ハルもD組のまま。




移動教室の途中、渡り廊下で新入生が集まって話してる内容が急に耳に飛び込んできた。



「2年でヤバイ人見つけた〜桜庭晴人さんだって!超格好良いよ」
「昨日間近で見たらめちゃイケメンだった」
「今日も居るかな?食堂行ってみようよ」



あくまでポーカーフェイスで通り過ぎたけど、両端に居る麻衣子と梓がソワソワしちゃってる。



「まさかの……桜庭モテ期到来!?」
「まぁまぁ、そのうち彼女が星那だって知ったら諦めるよ」



聞こえないフリ、したかったんだけどな。
でも何とも思ってない。
だって信じてるからね。






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