キミ、が欲しい



放課後。



靴箱に入れられてるラブレター。
そっとカバンに直すところを麻衣子に見つかる。



「ラブレター〜?星那のモテ期はいつになっても衰えないね〜?こりゃ桜庭の方が心配尽きないわ」



新入生男子がチラチラこっちを見てるのはわかってるよ。
ちゃんと受け取ったかどうか確かめてくれてんだと思うんだけど手紙は好きじゃない。
後に残るから。
もらって一番困るものだ。
勿論、返事は一切書いたことがない。



「えっ!?ラブレター?」



振り返ると顔面蒼白でショックを受けてるハルが立っていた。
いつもなの?って……うん、時々ね。
ガーン……と白目を剥くハルにギュウ…と抱きついた。



麻衣子と梓が居てもお構いなし。
他の生徒だって多数見てる。
本当は手紙の相手やハルを狙う相手に見せつけるため。
「わわっ…!」ていつになったら慣れてくれるんだか……
私がこういう人間だってわかってるくせに。



「あちゃ〜結局気にしてるじゃーん」と麻衣子に見抜かれてるけど何とでも言え。



「ハル、帰ろう?」



「うん!」




わからないなら教えてあげる。
見せつけてあげる。
変な虫は始めから排除しなければ。
並んで歩き、門を通る。
ポケットに入れてる手に触れながらハルの隣は独り占め。



「意外と束縛すんだね」って麻衣子の言葉にあっかんべー。



ハルはダメ。
私の彼だから。
「格好良い」と思ってくれるのはいいけど、常識の範囲越えて来たら黙ってないから。




黙ってないからって言ったのに………







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