晴れた日に降る雨のように
優しい雨
サーという雨音だけが聞こえる。

真っ白な部屋に、真っ白なシーツ。
スポットライトの光が、秋穂の白く透けるような肌を照らしている。

小さな寝息を立てながら、シーツに包まる秋穂を俺はジッと見つめていた。
こんなにも心穏やかな気持ちで秋穂を見つめるのはいつ以来だろう。

そんな事を思いながら、秋穂の頬にかかった髪にそっと触れた。


『好き』
3年前のあの日、ずるくも秋穂に言わせたその言葉。
ずっと自分から言えなかった俺。

その秋穂の言葉に胡坐をかき、秋穂の欲しい言葉を言わなかった俺はどれだけ秋穂を不安にさせてきたのだろう。

この顔からかいつも周りには女の子がいて、自ら告白もしたこともなければ、声を掛けたこともなかった。
そんな時秋穂に会い、初めて自ら抱いた恋心の処理の仕方がわからなかった。

それでも秋穂が笑ってくれれば幸せで、手を放すことなずるくそばにいた。




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