明日は明日の恋をする
私の過去
1ヶ月が経ち、気がつくと暑い日が続く夏の季節になっていた。私もだいぶ仕事に慣れ、生活のリズムも出来てきた。

しばらくは高瀬さんとも会う事もなく、進藤さんがお酒を飲んで帰ってきても私に何かする訳でもない平凡な日々を過ごしている。

「今日は進藤さん、帰りが遅くなるって言ってたなぁ。」

夜は簡単にご飯を済ませて、部屋でのんびりと過ごす。そして日付が変わった頃、玄関のドアが開く音がした。

「お帰りなさい。」

私はリビングへ行き、コップに水を入れ恐らく酔って帰ってきた進藤さんに渡す。

「いや、今日はもう少し飲むから付き合ってくれないか?」

進藤さんはソファーに座り、ネクタイを緩める。私はビールと簡単なツマミを用意して進藤さんの前に置いた。

「明日もお仕事なのに大丈夫ですか?」

「あぁ、大丈夫だ。怠い時は社長室で寝る。」

そう言ってビールをグィッと飲む。私は笑いながらビールを一口飲んだ。

「そういや、あの元彼とはどうなった?」

「元彼?義雄の事ですか?あれから一切連絡してませんけど…。」

進藤さんが珍しく積極的に話しかけてくる。結構酔ってるみたいだ。

「前にうやむやになった不感症の話…。続きが気になるな。」

「ふ、不感症って違いますから。」

前に車の中で義雄にやらせなかったって話をした気がするけど…覚えてたのか。進藤さんは笑みを浮かべてじぃっと私を見てくる。

「聞いても…つまんない話ですよ?」

話したくないと言えば、きっと進藤さんはそれ以上追求はしないだろう。けど昔話を交えつつ、私は自分の事を話してみる事にした。

< 46 / 197 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop