あまい・甘い・あま~い彼に捕らわれて

糖度200パーセント

翌日、朝から大騒ぎだった。

会社の前で颯馬にキスされて…

昨日から今朝までテレビで何度、颯馬を見ただろう。

「あんなイケメンの彼氏いたんだね」

はじめは否定していたが、それもめんどくさくなり、曖昧に微笑んでやり過ごした。

「はぁ」

「なんですか?そのため息は。
テレビ見ましたけどめちゃくちゃずっと愛されてるじゃないですか!」

「だって…意識したことなかったんだよ?
どうしていいのかわからないよ…。」

正直どう接していいのかわからない。

もう、可愛くて生意気な弟みたいな颯馬じゃない。

飲み会で酔えば駅まで迎えに来てくれて、彼氏と別れれば愚痴に付き合ってくれて、誕生日もお正月もクリスマスも過ごす相手がいない時は、いつも颯馬が一緒にいた。

「えーっ?
逆にどうしていつもそんなに一緒にいたのに、意識したことないんですか?
それはかなり、坂口さん振り回してますよ?

意識してもらえてない彼に同情します…」


「うっ…」

思わず言葉につまる。
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