高嶺の花沢さんは恋の仕方がわからない
7*その花を欲しいと思った
最初は苦手な人だと思った。

美人で仕事がデキて、やり方もスマートで常に完璧で誰も人を寄せつけない――そんな彼女が苦手だった。

“高嶺の花”と言う言葉は、まさにこの人のためにある彼女のことが苦手で仕方がなかった。

俺の中での花沢蜜実は、そんな人物だった。

勤めている会社の先輩で、仕事がよくできる美人と言う印象だった。

そんな彼女に興味を持って気になったのは、本当に些細なことだった。


「すみません、大丈夫ですか?」

そう声をかけた俺だったけど、
「すみません、すみません、すみません」

ぶつかられた当の本人は何度も謝りながら、床のうえに散らばったものを拾い集めながら財布に入れていた。

ぶつかったのは俺の方だから、そんなにも謝らなくてもいいんだけどな…。
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