同窓会〜あの日の恋をもう一度〜
*番外編*side悠太

初恋の思い出

あれは忘れもしない四ヶ月前のお盆中日、八月十四日。

俺は懐かしい人とすれ違った。

中学時代の同級生で片想いをしていた西田結衣。
彼女の姿を見るのは中学卒業以来の事だった。

彼女は隣町にある私立の女子高に進学した。
あの日俺の吐いた嘘が原因で、彼女の本命であった俺も入学が決まっていた県立高校の受験が叶わなかったのだ。

きっと俺は彼女に恨まれている。
声をかけたくてもかけられず、ただすれ違った彼女の後ろ姿を見つめる事しか出来なかった。

郵便局の郵便窓口で、彼女は用事を済ませて出て行く所だった。
俺は、郵便窓口の奥にある預金窓口に用事があり、郵便局に足を踏み入れた時にすれ違ったけれど、彼女はちょうど俯き加減で歩いていたので俺に気付かなかった。

何処かの会社の事務でもしているのだろうか、彼女はベストとタイトスカートがお揃いの、よく見かける事務服を着用していた。
きっとそれが職場の制服なのだろう。
ありふれたデザインで、尚且つありふれた制服だから、一目では彼女の職場は特定出来ない。

彼女の消息は、高校卒業後の事は分からなかった。
中学時代の親しい同級生も、彼女の消息を誰も知らなかった。

噂で大学も通っていた私立高校からエスカレーター式で同じ構内にある短大に進学しているのを見かけたと聞いた事がある。

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