同窓会〜あの日の恋をもう一度〜
外部からの入学組と、内部進学組とはあまり交流がないのか、それとも彼女が意識的に避けていたのか。
恐らく後者だろう。
短大に進学した子から聞いた話によると、西田は大人しいし控えめな性格である上に、外見も派手に着飾る事はなかったらしい。

大人しいからか彼氏がいるとか浮ついた噂もなく、空いた時間は合コンとか誘ってもなかなか参加しない、バイト三昧の日々だとか。

彼女の実家は自営業で地元でも割と流行っているパン屋さんだった。
お店と家は別の場所にあったらしく、自宅は俺が知らないうちに隣町に引っ越していた。
当時、彼女の自宅は俺が通う県立高校の近所にあり、登下校する時に、わざと彼女の家の近くを通って彼女の気配を感じたかった。

でも、高校に進学して暫くして異変を感じた。
彼女の住んでいる筈の家に、人のいる気配を感じなかった。
いつ通っても、電気が点灯していない。
それに気付いてからよくよく見ると、窓にかかっている筈のカーテンが無くなっていたのだ。

どういう事だ……? まさか、引っ越したのか?
俺は思わず表札とポストを確認した。

嫌な予感ほど的中するもので、そこにあるべき筈の表札が無くなっていた。
ポストも撤去されていた。

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