私だって少女漫画の〇〇になりたいっ!
推しの恋に協力します!


ーーそして、あっというまの日曜日。

正直、昨日の夜はワクワクドキドキして眠れず……
自分でセッティングしたとはいえ、デートなんて人生で初めてで、ギンギンに目が覚めてしまっていたのである。
まるで遠足の前日状態。

ダメだ…これじゃ私がデートするみたいじゃないか……
目的はひとつ、真壁くんの片想いを少しでも両想いに近づけることなんだから!

気合いを入れて集合場所に向かうと、百合ちゃんが可愛らしい小花柄のワンピースを着て立っていて、まさにお嬢様だという女の子らしいオーラが遠目でもものすごく伝わってくる。

そういえば、百合ちゃんお嬢様だからお出かけとかも許しがいるのかな…?
きっといるよね……護衛がいたくらいだし、まさか今日もついてきてる?

そう思って周りをチラチラ見ると、黒いスーツの人たちが至るところから百合ちゃんの様子を伺っていた。

そりゃそうだよね…お嬢様だもの。
無理やりダブルデートに参加させるようなことして、悪いことしちゃったな……

「…! あ、はーちゃん!」

百合ちゃんは私の存在に気づくと、私のところまで走ってこようとする。
足元はヒールの低めのパンプス。
しかし走るときっとこのお嬢様は……

「…きゃっ……」

そう、靴を何もなくとも地面に引っ掛けて転んでしまうだろう。

なんとか走って百合ちゃんの体を受け止めようとしたがダメだ…今度ばかりは百合ちゃんにまで届かない……

周りの護衛の人も気がついて走って来てはいたが当然間に合わない。

あぁ、私の足がもっと速ければ…!!


< 99 / 100 >

この作品をシェア

pagetop