25年目のI love you~やっぱり一緒に・・・②~
翌朝は、始まりは、いつもと変わらぬ朝だった。夫と次男を送り出し、一通りの家事を済ませた私は、その後、外出をした。


今日から不動産屋さん巡り、そして仕事探しだ。結論を出した以上、もうグズグズしている時間はない。


思えば、私は一人暮らしの経験がない。当然、不動産屋さんに1人で行ったこともない。とても不安だったけど、そんな事を言ってる場合じゃない。


私が、この辺で新居を探すと言うと、夫は驚いていた。どうやら私が実家に戻ると思っていたようだ。


その方が楽かもしれないが、現実に1週間戻ってみて、隣近所から好奇な目で見られたのは事実だし、穏やかに老後を過ごしている両親の負担にもなりたくない。実家に帰るという選択肢は、私の中には全くなかった。


並行して、ハローワーク通いも始める。この齢で、働いた経験も数年しかない女が、正社員になれるとは思えないが、少しでも条件のいい仕事を探さなくては、生活していけない。


夕方には家に戻って、夕飯の準備。夫はもう俺のことは気にしなくていいと言っていたが、次男がいるし、正式に離婚したわけでもなく、現実に夫の稼ぎでまだ生活している以上、最後まで責任は全うしたかった。


夜はまた話し合い。いろいろ決めなくてはならないことも、相談したいこともある。


夫からは離婚に際して、弁護士を入れようと提案があった。最後に揉めるのは嫌だし、後々に禍根を残さないようにした方がいいとのことだったが、私は首を横に振った。


でも慰謝料の額とか、わからないじゃないかと言う夫に、私は慰謝料という名目のお金を、請求する気も、もらう資格もない。夫婦の共有財産を折半すればいいだけだよと答えた。


別れることになったけど、お金に汚いことは絶対にしない人だということは、長年夫婦をやっていて、わかっていたから。


私の方からは、今日の状況の報告。仕事はともかく、住む所は、今度の週末に一緒に探そうと言う夫。


お前が嫌じゃなきゃ、保証人は引き受けるし、生活が安定するまで、当面は家賃も負担させてもらうから、ここは口を出させて欲しいと言われ、少し考えたけど、ここは素直に甘えることにして、この日の話は終わった。
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