real feel

Rejection

──4月16日。

帰りのJRですっかり眠ってしまっていた。
目が覚めたのは、あと少しで降車駅に着くという頃。

「あ、目が覚めた?顔がまだ赤いわね。いつから具合悪かったの?」

「自覚症状はなかったんですが……」

交流会が終わったあと、頭がフラフラして倒れそうになった私。
不覚にも体調不良を引き起こしてしまったらしい。

「気付かなかっただけで本当は昨日からきつかったんじゃない?私も気付かなかったのは上司として失格ね。悪かったわ蘭さん」

「そんな!課長は悪くないですよ。自己管理できてなくてお恥ずかしい限りです。迷惑かけてすみません」

昨日今日と、いろんなことが目まぐるしく起こりすぎて。
キャパシティオーバーだ。
私の心がなんらかの拒否反応を示しているんだ、きっと。
頭がガンガンして、何も考えたくない。

「もうひとつ謝らないといけないんだけど。さっき蘭さんの携帯に無断で出てしまったの」

……私の携帯に?

「佐伯くんの名前が見えたから、蘭さんの今の状態を伝えた方がいいと思って。了解もなしにごめんなさい」

そうだったの。
上村課長には私たちの関係はバレていたようで、行きのJRで散々からかわれたから、いいんだけど。

「私、眠ってたんですよね。それで佐伯主任はなんと?」

「まさか私が出るなんて思ってなかったのね、当然だけど。そりゃ尋常じゃない驚きようだったわ。あんな狼狽えた佐伯くん……新鮮で萌えたわ」

ああ、後で佐伯主任から怒られちゃうかな。
だけどいまは頭が正常に働かないため、どうでもいいような気になってくる。

「休日夜間診療に連れていってもらいなさい。保険証はある?」

「はい。いつも財布にいれてあるので」

受診のことも頼んでくれたんだ……さすが課長。

「さ、もう着くわよ。慌てなくていいけど、転んだりしないように気をつけて。ホームまで迎えに来てくれてるはずだから」

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