真 実
事件②

春樹は、毎回会社の行事には、
椿を伴うが
妊娠してからは、どうしても
夫婦同伴が必要な時にだけ
椿と一緒に出席するようにした。

美しい椿を人目でも拝見したいと
言われていたが
春樹は、椿の身体の事を
考えて無理はさせなかった。

まだ、両親を失った悲しみに
負われている椿だったが
春樹の愛情と里の優しさに
包まれて少しずつ
笑顔も出るようになっていた。

「椿、俺の前では無理をするな。
俺は、何時も椿のそばにいる。
椿、これ以上の表現が出来ないことが
歯がゆいが、椿をとても愛してる。」
と、言うと
「春樹、私も愛してる。」
と、答える椿を春樹は抱き締め
何度もキスをする。

深いキスから
顔中に触れるだけのキスを・・

椿は、くすぐったそうにして
「うふふっ」
と、笑っていると
「椿、今、直ぐにでも抱きたいが
今は、我慢する。」
と、言う俺に
「ごめんね。」
と、謝る椿。
「だが、安定期に入ったら
優しく抱く。」
と、言う春樹に
真っ赤になりながら
頷く椿だった。

そんな日々を過ごしながら
お祖父様は、回復して
退院をした。

椿は、安定期に入り
検診の日にお祖父様に会いに行ったり
両親の墓参りに行ったりと
ゆったりと過ごしていた。

春樹は、どんな忙しくても
椿の寝顔を見て
椿を抱き締めながら寝ると
心から安らげた。

そんな椿が9ヶ月に入った
検診の日に
どうしても外せない社用で
春樹は、同行できなかった。

何度も、心配で日にちを変えるように
言うが、椿は大丈夫だからと
いってきかなかった。

そんな椿に春樹は
「はぁっ、わかった
だが、椿、気をつけて行くんだ
そして検診が終わったら
直ぐに連絡すること。」
「クスッ、ごめんね、春樹。
ありがとう、終わったら連絡するね。」
と、言う椿を春樹は抱き締めて
キスをしてから出社した。


この時・・・・
譲らずに・・
日にちを変えさせていたら・・・
そう・・・何度も・・・
後悔・・する・・事に・・なる・・
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