消えないで、媚薬。
【秘密な関係】




「ヤダ……カホせんせいとおどる〜ウワーン…!」




ちょっぴり泣き虫甘えん坊なミクちゃんは隣で一緒に踊ってあげると泣き止むみたい。
涙を拭いながらチラチラ私を見てニコニコ顔になるのは可愛過ぎる。
こんなに気に入ってもらえて嬉しい限り。
年少さんクラス万歳…!




とにかく泣き出す子たち担当になってしまったようだ。
抱きついて離れないの、結構大変なんだよ?
でも笑顔にするのは得意みたいで。
「担任持ったら良い先生になるわ」って先輩保育士に言われました!イエイ!




運動会当日。
晴天に恵まれて胸を撫で下ろした私に青天の霹靂…!
グランドを借りている高等学校の在校生数名。
「手伝います!」と自ら名乗り出てくれた模様。




ほとんど女子だけどその中に男子2人。
そのうち1人が石川くん…!!
ニコニコしながら
「私たち保育士になりたくて今日は勉強させてください!」って女子が言ってるけど石川くんも頷いてて。




石川くんは保育士希望じゃないでしょ?
そんなこと聞いてないもん。
バチッと目が合ったけどニッと笑われた。
でもここはポーカーフェイスでやり通そう。




「じゃあお言葉に甘えて、宜しくお願いしまーす!教えるのはカホ先生、いいかな?」




「えっ!私ですか!?」




素っ頓狂な声が出てしまった。
確かに一番手が空くけども。
よりによって何で石川くんが居るのよ〜最初からそのつもりだったな?





「勉強させて頂きます!宜しくお願いします!」




冷や汗タラリ………
仕方ない、ここは保育士モードで乗り切るしかない。
こうなったらニコニコ笑顔で卒なく対応してやる…!




とりあえず荷物運び。
プログラムで子供たちの並ぶ位置を確認しながら白線やコーンを配置する。
入場門と退場門での誘導係も打ち合わせで決めていく。






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