消えないで、媚薬。
いつも思い知らされる。
ヤバイのは私。
頭では何度もブレーキかけてるのに急発進してしまう。
身体の中に溶け込んでくる彼を受け入れてしまってる。
ううん、求めてしまってる。
自分の中の自分もよく分からない。
どうしたいのか、
どうあるべきなのか。
曖昧な境界線の上で藻掻くしかないのかな……
ただハッキリ分かっていることと言えば……今まで一度も、こんなにキスに溺れたことはない……ということ。
何なの……これは………
息が上がる………
吐息が漏れる………
抱き寄せられながら受けるキスは骨の髄まで届きそう………
これ以上はヤバイと私から唇を離した。
「香帆さん……まだしたい」
離すのもやっとだったのに熱い頬を寄せて必死に耐えてくれてるのが痛いほど伝わってきた。
彼の吐息が首筋にかかる。
それだけでおかしくなりそう。
肩を抱いて距離を取ったのに、目が合えば脆とも崩れ落ちる。
「私の努力……水の泡にしないでよ…!」
口が勝手に滑って言い放ったらもう自分でも止められなかった。
深く……深く……私の方から………
キスだけで終われる……!?
ねぇ、しっかりして!?
今は本能に従ったりしたら大変なことになる…!
首に回した手を降ろしてその場を離れた。
「キス……だけだからね?」
精一杯突き放したら後ろから「ありがとう…」と抱きしめられた。
それさえ拒めないほど私の身体は力を失くしてる。
立ってるのがやっとだ。
ちょっと待って………
こんなのが毎回あるの……!?
会うたびに!?
それはちょっと……身が持たないかも。
「やっぱり香帆さんからのキスは嬉しいな」
「なっ…!今回だけだから…!」
「え〜?つまんないの」
「当たり前でしょ、調子に乗らないで」
「いいもーん、香帆さんのスイッチわかっちゃったから覚悟しといてね?」
「はぁ!?なっ、ななな…!」
こんな若僧に分かられてたまるかっ…!!
マジで、マジで…!!
前途多難………
私は生きて帰れるのだろうか。