消えないで、媚薬。
【危険な夜】
「みーんなー!久しぶりー!香帆連れて来たよん!」
続々と同級生が集まってる居酒屋でさとみと一緒にやって来た。
貸し切った個室に入る前に注目させる演出なんて恥ずかしいんだけど?
手を引かれ勢いよく皆の前に出される。
一気に視線が集まって口々に名前を呼ばれた。
「ひ、久しぶり…」
「うわ、本当に香帆なの?」
「綺麗になってるー!」
「保育士頑張ってるー?」
「懐かしいー!やっと会えた!」
「なんか、ずっと来れなくてごめんね?やっと落ち着いてきたから参加しまーす!」
「さとみと一緒にこっち座りなよ」
懐かしいメンバーにほっこりする。
皆変わってない。
男女隔たりなく友達だったあの頃が一瞬で蘇る。
皆で乾杯した後すぐ隣の時田くんが「高野、乾杯」とグラスを当ててきた。
改めて見たらちょっと違和感。
「あれ?時田くん…メガネは?」
私の記憶が正しければ学生時代ずっとメガネをかけていたと思うんだけど今はかけていない。
時田くんだよね?
「あぁ、去年かな?レーシック受けたんだよ」
「へぇ、そうなんだ?やっぱ違う?」
「うん、世界変わった。もっと早く受けとけば良かったって思えるよ」
ジッと目元を見ちゃう。
今の技術って凄いな〜なんて思ったたら「何だよ、見過ぎ」と顔を背けられた。
すかさずさとみが「耳まで赤いぞ〜」とツッこんでる。
え?そうなの?
ずっとメガネで、その顔に慣れてたけど取ったところ見るの案外初めてかも。
さとみに「うるせぇ」と言う時田くんは本当に耳まで真っ赤になっていた。
「意外とイケメンだったんだね?」
「香帆、それは言い過ぎ。そんなこと言ったらすぐ調子乗るから」
「バカ、乗らねぇよ」
時田くんは当時から見た目のまんま真面目くんだった。
成績も常にトップだったし生徒会長もしてたよね。
今じゃIT関係に就いていて文句なしのエリートだとか。