副社長の歪んだ求愛 〜契約婚約者の役、返上させてください〜
「いやいや。美鈴ちゃんは美人さんだし、一目惚れされちゃったかもね」

「何を言ってるんですか、もう」

「あはは。ま、わかんないけどね。
そうそう。次は来週の木曜日に行くから。また10時に」

「木曜日ですか……えっと……あっ、その時間に山岸さんに同行する予定なんですけど」

「そうか。じゃあ、こっちは俺だけで行くよ…資料の作成だけはお願いするかも」

「わかりました」

「あーあ。美鈴ちゃんが来ないと、東山さんががっかりしちゃうかもね」

「篠原さん!!」

「なんてね。それじゃあ、よろしく」


もう、本当に何を言ってるんだか。
でも……東山さん、私のことを覚えていたんだ。


幼い頃出会った、王子様のような憧れの人は、副社長を任されるような、仕事のできる、誰から見ても素敵な男性になっていた。
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