副社長の歪んだ求愛 〜契約婚約者の役、返上させてください〜
「じゃあ、間違いないのかな。東山さん、そのことが気になったのか、美鈴ちゃんのことも聞かれたよ」

「えっ?篠原さん、何か変なことを話してないですよね?」

「ないない。それより俺が〝美鈴ちゃん〟なんて呼んだから、付き合ってるのかって思われちゃってさあ」

「もう。いつも佐山でお願いしますって、言ってるじゃないですか!」

「そうなんだけどね」

何がおかしいのか、篠原さんは笑いをもらしている。

「付き合ってないって否定したら、あからさまにホッとしていたぞ」

「なんですか、それ?」

「東山さん、美鈴ちゃんのことが気になってるんじゃないかなあ」

「そんなわけないですよ。当時だって、話したこともなかったし、何より9歳までの数年間の出会いですよ?今だって、2回顔を合わせただけですし……」

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