副社長の歪んだ求愛 〜契約婚約者の役、返上させてください〜
週末、久しぶりに母の元へ帰ってきた。
都心から新幹線で1時間ほど行った静岡に、母の住む実家がある。
費用的に、頻繁には帰れないけど、数ヶ月おきに帰るようにしている。

「お母さん、ただいま」

「おかえり、美鈴。お茶でも淹れてくるね」


リビングに、母と向かい合って座る。

「美鈴、帰ってきてくれることは嬉しいけど、お金もかかるし、とんぼ返りでは休まらないでしょ?だから、予定のない長期の休みにでも顔を出してくれればいいのよ」

「もう。私が帰りたくてしてるんだから、いいでしょ」

思わず拗ねた顔をしてしまう。

「無理してないの?」

「もちろん。無理な時は、電話連絡ぐらいにしてるから」

「ならいいけど。仕事の方はどう?」

「問題ないよ。学生の時に取った資格や、スキルのおかげで、ありがたいことに重宝がってもらえてる。お母さんのアドバイスのおかげだね」

「美鈴が頑張ったからでしょ」

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