悔しいけど好き

ああ勘違い

……

あの資料室には近付くな。それと、袴田専務に気を付けろ。


鷹臣に言われたけど、最近は鷹臣と言い合うこともないし、噂のせいで元々あまり近付かないようにしてたからわざわざ言わなくてもと思った。
それと袴田専務って誰?

「え?凪知らないの?」

「うん、そんな人いた?」

「はあ~ほんと世間知らずのお子さま…」

「ちょっと!お子さまって!」

昼休みの食堂。
明莉に聞いたら思いっきり呆れられた。
そんなこと言われても知らないものは知らないし!
膨れる私に明莉はヤレヤレと言うように一瞥して教えてくれた。

「袴田専務は社長の息子。いわば御曹司で今確か30歳くらいだと思う。社内じゃどら息子で通っててろくでもない奴よ。仕事どころか遊び呆けて出勤もまともにしないし、わりと顔はいいから女子社員引っかけては食べまくってるって噂よ」

「そんな人がいるの?知らなかった」

そんな人が私とどう関わりがあるのだろう?
上層部の人と会うことなんて希だし気を付けろと言われても顔もわからない。

「神城くんが気を付けろって言ったんでしょ?もしかして凪目付けられたんじゃないの?」

「まさか!会ったこともないのに?目立つような社員でもないわよ?」

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