エリート弁護士は独占愛を刻み込む
2、彼との同居生活
「づーがーれーたー」
玄関に入ると、仕事帰りにデパ地下で買った食材をドサッとフローリングの床に下ろした。
両腕にはレジ袋の痕がくっきり残っている。
おまけにヒールの高いパンプスでデパ地下を動き回ったから足が痛い。
「あ〜、ショコラ王子の馬鹿!」
まだ事務所で仕事をしているこの家の主人に悪態をつく私。
なんで私がこんな目に。
元はといえば、恭吾さんが私と同居していることをバラそうとしたからでしょう!
バレたら恋人と思われて事務所の人達と一緒に仕事がしづらくなるじゃないの。
あの人は一体なにを考えてるのか。
私に引越すお金があったらなあ。
前の会社を突然解雇され、退職金も出なかった。
今の私の貯金は五十万ちょっと。
洋服や化粧品、それに英会話というように自分磨きのためにお金を使っていたら、全然貯まらなくて引越し費用なんて出せなかった。
だって、引越し代の他に新居の敷金や礼金、足りない家電製品代もかかるし、日々の生活費も手もとに残しておく必要がある。
そんな実情を知った恭吾さんが言ったのだ。
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