花はいつなんどきも美しく
最低だな、お前
昨日のモヤモヤが嘘のように、すっきりとした朝を迎えた。


男の傷は男で癒せって聞いたことあるけど、バカにしてきたことを謝る。
完全に悠之介に癒された。


「あら。失恋女の顔には見えない」


デスクにつくと、早速愛子が絡んできた。
酔ったときの記憶は残るタイプの愛子は、はっきりと失恋女と言ってきた。


「いつまでも引きずってられないなって思っただけ。次の男に行かなきゃ、結婚できなくなる」


そう言いながら、自分に結婚願望があることに驚く。


「まあ、わからないこともないけど」


愛子はつまらなそうな顔をした。


……からかう気でいたな?
悪魔め。


「ていうか、聡美より雪君のほうが失恋してるように見えるんだけど」


愛子が視線を向けたのにつられるように、園田雪のデスクを見る。


心ここに在らずって感じで、ため息をついたり遠くを見つめたりしている。
そこだけ、空気が重い。


そのせいか、一昨日は女性社員がデスクを囲んでいたのに、今は誰も寄り付かない。


それにしても、園田雪が失恋とは少し信じ難い話だ。


「……何かあったの?」


さすがに気になり、周りには聞こえないような声で、愛子に耳打ちする。


「さあ?昨日からため息が多いようだったけど」


事情を知らないで失恋だとか言ったのか。


まあ、もし愛子の言うことが当たっていたら、絶対に私にできることはない。
そっとしておくのが最善だろう。


「ところで聡美。昨日どっちと寝た?」
「……はあ!?」


とんでもない質問に反応は遅れ、オーバーリアクションをしてしまった。
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