花はいつなんどきも美しく
テクニックです
目が覚めたら、自宅の寝室で下着姿だった。


帰ってきた記憶がない。
でも、ちゃんと家で寝ていたことに、不思議と安心した。


そして寝返り打つと、目の前に真司の寝顔があった。


「……え」


一気に目が覚める。
私は飛び起きた。


「は!?」


待て待て?
とりあえず落ち着こう。


いや、落ち着けるか。


なんだ、このデジャブのような状況は。


学習しようよ、私。
この前飲みすぎて悠之介とのことがあったばかりじゃないか……


ていうか、たしか私、店で悠之介にキスを……


「ああ!」


大声でそのときの記憶を消そうとする。


「……うるせえ……」


それで目が覚めたのか、真司は不機嫌に呟いた。


「ちょ、真司!」


私のせいで飛ばされた布団に潜る真司のTシャツの首元を掴んだ。
無理やり体を起こす。


まだ寝ぼけているのか、目が開いていない。


「私たち、何もないよね!?」
「ん……たぶん……」


多分ってなに!
それじゃ困るのに。


私は真司から手を離す。


「やっ……た……?」


はっきりとは言えなくて、一音ずつ、恐る恐る尋ねた。


私の焦りとは裏腹に、真司は呑気に欠伸をしている。


「お前が勝手に脱いで、騒いで、寝た。ソファで寝ようと思ったけど、お前が俺の服の裾を掴んで離さなかったから、そのまま隣で寝た。それだけ」
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