一級建築士の萌える囁き~ツインソウルはお前だけ~

ガーディアン(守護者)

帰りの電車でもまた、萌音は海音に抱き込まれる形で目的地まで過ごすことになった。

さすがに連日の長距離移動でぐったりだ。

そのため、疲れ果てた萌音が、ついうっかり海音の胸で眠ってしまったことはやむを得ないと思いたい。

海音のマンションは、会社と萌音の住むマンションの最寄り駅から更に5駅ほど過ぎたところにある。

そのまま自宅に帰るように進めたのだが、萌音を送り届けると頑なな海音が

「萌音が無事家に帰りつくまでがデートだ」

なんて、学校の先生が言う、遠足の帰り道の決まり文句みたいなことをいうから黙って従った。

改札を出て、見慣れた町並みを見て萌音はホッとした。

建築物や美術鑑賞は楽しいが、長距離の移動は疲れるし、人混みはやはり緊張する。

童顔の萌音は、いつも高校生に間違われ、男性からはなめられているのか、電車などではニヤニヤ、ジロジロと嫌な視線を浴びることが多いのだ。

それなりに対処しているとはいえ気持ちの良いものではない。

今日、一昨日の海音の態度は、だだの後輩に対するものとしては行き過ぎとはいえ、他の男性から庇ってもらえたことは素直に助かった、と萌音は思っていた。

さすがに会社の近くだ。

休日出勤の社員もいるからか、海音も萌音への過剰な接触は避けているようでホッとした。

とはいえ、並んで歩くのもハイリスクだ。

゛月曜日に誰かに何かを聞かれたら仕事の延長だと言おう。半分は本当だもの゛

と、萌音は心の中で自己完結しながら家路を急いだ。
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