ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋
Reina's eye ケース4:主治医の素顔
【Reina's eye ケース4:主治医の素顔】
自ら命を絶とうとしたあの日から既に1ヶ月。
私は悪阻と絶対安静と24時間持続点滴と闘った。
悪阻は相変わらず続いていたが、切迫流産の危機的状況を避けられた為、絶対安静は解除された。
動けるってこんなにありがたい事なんだ
それって病気になってようやく痛感する
実際のところ、妊娠であって病気ではないけど・・・
自由に動けるようになりちょっぴり気分が良くなった私は外の風にあたりに屋上へ向かった。
屋上は私が2回目の自殺をしようとした場所。
そこへまた行くことはその時の想いが蘇りそうで怖かったけれど、頑張って生きていくと決めた私は敢えてその場所に行く事にした。
午後3時。
屋上の入口のドアを開けると、その日もすっきりと澄んだ青い空が広がっていた。
妊娠17週のちょっぴり膨らんできたお腹に手をあてながらゆっくりと外の空気を吸い込んだ。
空気が身体の隅々まで染み込んでいく。
久しぶりに生きた心地がした瞬間だった。
「外の空気は堪能できたか?」
遠くから聞こえてきた声。
でも人の姿は見えなくて。
私はキョロキョロしながらゆっくりと前へ進む。
そうやって歩いているうちに私の視界には、ベンチに寝転んだままメロンパンらしきものを齧っている日詠先生の姿が飛び込んできた。