皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした
皇子の涙
【フィンリューク】



ヒナが刺されたとの報告が入ったのは、アリスが俺に差し入れをしてからそんなに時間が経っていない時。



なぜ、ヒナが…?



アリスは⁉︎



力を使って診療室に飛ぶと、血塗れのメイド服を着たヒナがベッドに横になっていた。



「状況は⁉︎」

「庭で何者かに刺されたとのことで、ただ今皇后様を呼びに‼︎」

「いい、俺が連れてくる‼︎」



母上の部屋に飛び、そのままヒナの母親のリーナと母上を連れて診療室。



駆け寄った母上が、すぐに治癒を始めた。



死ぬなよ、ヒナ。



「何事ですか‼︎」

「ヒナが庭で刺された。ジェードは王城に使いを出し、国王に知らせてくれ。ヒナも一応第二王子の婚約者だ」

「アリス様は…」

「…………ヒナから話を聞く」

「わかりました。殿下、すぐに戻ります」



駆けつけたジェードが、バタバタと動き出した。



医者よりも母上の治癒の方が数倍も早く治る。



荒かった呼吸が落ち着いてきて、目を覚ますヒナに、リーナは涙を流して安堵した。



「目覚めてすぐにすまない、ヒナ。アリスはどこだ」

「何者かに…拐われてっ…。殿下っ‼︎アリス様を助けてくださいっ‼︎」

「犯人の特徴は?」

「言葉のなまりが…北の方でした」

「そうか。他には?」

「申し訳ありませんっ…」

「わかった。休んでいろ」



どこへ行った、アリス…。



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