四季〜巡る時を、君の隣で〜
秋奈と秋斗〜お仕置きの後は、甘いキスとココアで〜
「ねえ、秋奈(あきな)……」

彼氏の秋斗(あきと)が話しかけてくる。でも、あたしは秋斗の方を見ることも、返事をすることもしない。ずっと手元にある本を読み続けている。

最近話題のミステリー小説。主人公に脅迫状が届き、洋館へと行くことになる。そこには主人公と同じく脅迫状をもらった数人の男女がいた。そして、次々に洋館に集められた人間が殺されていくというもの。

小説の中で、主人公は犯人が誰なのかわかったみたい。でも、あたしは誰なのかわからない。一体誰なんだろう。もう一度読み返してみようかな……。

あたしは、ミステリー小説を読む時には犯人を自分で見つけてから続きを読む。でも、自分の予想とは全然違う人がいつも犯人なんだけどね。

「秋奈!」

大きな声で呼ばれた刹那、手から乱暴に本が奪われた。隣にいるのは、本を手に怖い笑みを浮かべる秋斗。あ、ヤバ……。

去年も確か、今日と同じようなことをして痛い思いをしたんだった。こんな時になって去年の失敗を思い出す。
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