Get over it.

龍生

龍生said

「寝てしまわれたようですね。」

「あぁ」

緊張や別れ、裏切り、暴力・・・今まで気の休まる時が無かっただろう。

今は、安心したように俺に身を任せる愛しい女、玲。


俺が今までの学校に通っていたのは・・・。

生まれた時から俺の生きる道は決まっていた。

日本最大組織 竜神会、そのトップの大神組の跡取り息子

流石血筋なのか、極道の世界は俺に合っていたようで喧嘩、腹の探り合い
裏切り、策略・・・全てを難なくこなしていた。

俺自身、この世界以外の生き方は無理だろう。

だが、中3の時ふと思った。

この世界にいても仲の良い両親、正直羨ましいと思った。

俺は容姿も良く、女にはかなりモテた。だが、それは俺の上辺だけ・・

俺自身を見てくれる、そんな女が欲しいと思った。

両親は高校の先輩、後輩だったらしい。周りの反対もあったが、2人の意思は
固く結ばれた・・母親がよく俺に話してくれていた。

「龍生にも、本気で大事に想う人ができたらいいね。」それが、母の口癖だった

だから・・・親父に頼み込んだ

「高校の3年間だけ、俺の事を知らない場所で生活させてほしい」と

思いの他、親父はすんなり了承した。


俺の容姿は目立つ、だから隠すことにした。

鏡に映った俺は、冴えない地味男になった。

高校生活1年目は、何もなくただ過ぎてしまった。

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