Get over it.

過去との決別

龍生から愛美の話を聞いてから暫く経った。

今日は朝から本家に蓮を連れ遊びに来ていた。

蓮は強面の組員さん達にも、全く怖がらず懐いているので皆に
可愛がられている。

そんな蓮の様子を見ながら、龍生の母でこの大神組の姐でもある
弥生さんとお茶をしていた。

「玲ちゃん、最近はどう?」

「そうですねー、蓮も大分大きくなってきたし、龍生の忙しさは
 相変わらずですけど、大分落ち着いて生活できるようになって
 きました。」

「それは良かったわ。
 でも、なんか面倒な虫が寄って来てるって聞くけど、大丈夫?」

「そうみたいですね。
 でも、龍生に任せてるので、大丈夫だと思います。」

「なら良いけど、何かあったら遠慮せず言ってよ。」

「はい、もちろん。」

そんな会話をしていると私のスマホが鳴った。

見ると知らない番号・・・

弥生さんに目くばせしながら、電話に出た。

「・・・はい。」

「玲、玲なの?久しぶりね、お母さんよ。」

ハッ!?私を捨てた母親?

今更何の話があって電話してきたのか?

ましてや、この番号は限られた人しか知らないはず・・・。

私は、電話をスピーカーにして会話を続けた。

「私を捨てた母親が今更何の用があって電話してきたの?」

「何言ってるの?私は玲と縁を切るなんて反対したけど、聞いて
 もらえなかったのよ。
 でも私は玲を産んだ母親よ、縁は切れない。
 玲に会いたいの。」

「私は会いたくない。」

「一生のお願いよ、私と会ってちょうだい。
 明日の11:00に〇〇駅前に来て。車で待ってるわ。
 この事は誰にも秘密よ。玲一人で来てね。
 お母さんのために必ず来てよ、お願いね。」

自分の言いたい事だけ告げると、電話は切れてしまった。



< 43 / 63 >

この作品をシェア

pagetop