恋人は社長令嬢
勇気を出して
ある夜。

梨々香は眠れずに、一人1階にある台所へと、足を運んだ。

普段は、お抱えの料理人達がひしめく台所も、みんなが帰れば、出入り自由だ。

「水でも飲もう。」

梨々香が、眠い目を擦った時だ。

台所の中央のテーブルに、那々香が座っているのを発見。

「那々姉。」

梨々香が声を掛けると、那々香はビクッとして、後ろを振り向いた。

「なんだ…梨々香。」

いつもの那々香なら、『突然、話しかけないでよね。』的な事を言ってくるのに。

「那々姉も、眠れないの?」

梨々香が話しかけると、那々香は頬杖をついた。

「うん。」

なんだか今日の那々香は 元気がない。

「何飲んでるの?」

梨々香は、那々香の手元を見た。
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