東京血風録3 キラーズ・コード【改編版】

キラーズ・コード

王道遥である。
この状況、初対面である。
思わず訊いていた。
「お姉ちゃん知らないよね?」

姉の開いた、オカルトOHDOHの前である。遥を訪ねて来た2メートル近い男は笑った。
「知りません」
「何の用?」遥は素っ気ない。
「忙しいんだけど」
「時間は取らせません」
羽田に降り立った大男は、中に入る事を要求しているようであった。
2日ぶりの事務所である。
姉がいる事を期待して、鍵を開けた。
だが、姉の姿はなかった。
焦り。

福岡から来た巨躯は、中に入って来た。
肩まで伸ばした髪を触りながら、
「手短に話します。と言っても詳しく話せない内容もありますので、ご了承ください」慇懃である。
「伽藍学園行きましたよね」
伽藍学園⁉︎オカルトOHDOHに持ち込まれた依頼で行った学校である。何故その
名前が出てくる?遥は不安になる。
「伽藍学園で、ある“書”が無くなりました。ご存知でしたか?」
ご存知も何も、何のことやらさっぱりだった。
「申し遅れましたが、私たちは“書”を守る事を業にしてましてですね《異常》の報告をもらってやって来ました」
何の事だ。
全く分からない。
「不躾で申し訳ありませんでした。これにて失礼致します。名前は今度の機会にでも!」
いきなり来て、名前も名乗らないのか、憤りを感じていると、
「また、近いうちに会うと思いますので」と言うと、踵を返して部屋を出て行った。巨躯なのに身のこなしが速くて、一瞬猫を見てる様な錯覚に陥った。

不吉な予感がするが、姉だ。
一刻が早く見つけなければ。

座る事もせず、部屋を出た。







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