婚約者は野獣
可愛い友達?


泣き過ぎて早退した日から
保健室に籠ることが多くなった


もちろん永遠を避けるため


そんなことしなくても
鳴らなくなった電話とメール

それだけで十分なのに

ウッカリ出会うことも避けたくて
保健室を離れる時は細心の注意をはらった


それなのに


「「まるちぃ〜」」


今日も可愛さ全開でやって来たのは


内田優羽さんと堂本琴さん


「また来たの?」


「え〜、なんか冷たくな〜い?」


「そうだよ冷たいっ、まるちぃ」


唇を尖らせた二人は
そのままアイドルデビュー出来るんじゃないかと思う程可愛い


「授業には出るのよ」


「「はーい」」


可愛い顔で笑う二人を見ると
無碍には断れない優柔不断な私


熱を出して堂本君に抱かれて此処へ来た内田さんは
扁桃腺が腫れたことによる熱発だった


点滴をして帰った後二日欠席しただけで見事に復帰して

保健室まで手作りのクッキーを持って堂本さんとお礼に来てくれた

どう思い出しても
私は何もしていないんだけどね

ま、堂本の名前を背負った琴さんに
合わせるように東白へ入学した内田さん
他の生徒と交わることは容易ではないのだろう

だからなのか?あれ以降やたら懐いてくる二人と

少しずつ話すようになって
三日も経つと毎日お昼にはお弁当を持ってやって来る


挙句に[丸山千色]の名札を見て
“まるちぃ”なんて犬みたいに可愛い略語を作った内田さん


「二人ともお弁当可愛いね」


一緒に出した大吾特製弁当に


「まるちぃのも可愛いじゃん」


なんて褒められて
女子トークに参加する私も大概だ


「ねぇねぇ、まるちぃって
修学旅行って引率なんでしょう?」


「あー、たぶん?」


「なにそれ、たぶんって」


「小崎先生も行くから私がどちらの班になるかは分からないの
それに・・・役に立つのかなぁ私」


「小崎なんて役に立たないから
まるちぃの出番なんでしょうが」


「あー、そっか」


小崎先生の役立たずを肯定したところで


「「「ブッ」」」

三人で爆笑してしまった










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