慈愛のケモノ
あいす。



目覚めると、青いカーテンが見えた。その向こうから光が差している。

起き上がってすぐに思ったことは、

「生きてた」
「そりゃ生きてるね」

カーテンじゃない方に遠月さんがいた。

「死ぬと思ってました」
「気持ち良くて?」
「じゃ、なくて、遠月さん、不穏なことばっか言うから……」

きょとんとした顔。それから腕を引っ張られた。
隣に寝転んで、見上げる。

「琉花ちゃん死んだら、俺も舌噛んで死ぬわ」
「そんな」
「冗談じゃないよ」

それが本当に冗談じゃなさそうなので、突っ込むのはやめておく。

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