慈愛のケモノ
眩しそうにちょっと目を細めて、遠月さんは私を抱きしめてくれた。
「亡くなった母親に嫌われてたって?」
「覚えてたんですか」
「ちゃんと好きだって言ったのも覚えてる」
「私がやだってこと、シたのは?」
「でも、それとこれとが結びつかない」
聞いてないフリをしている。
それにちょっと笑って、首に顔を埋めた。
人の体温って、こんなに温かいんだ。
「理由が分かんなくて嫌われてたなら、理由が分かんなくて好きになっても良いかなって、そう思っただけです」
急に頬を掴まれて、上を向かされる。
何事かと遠月さんと視線が絡む。