みずあめびより
ミーティングびより
「ブオーー」

───寝癖、なかなか直らねえな・・・。

5月。二人で暮らし始めて半年以上が過ぎた。

朝シャワー派だった鈴太郎も衣緒の影響で基本的に夜湯船に浸かるようになった。そのおかげか長年悩んでいた肩こりもだいぶよくなってきた。

───それにしても・・・。

昨晩のことを思い出し吹き出しそうになる。

ベッドで衣緒のパステルカラーのパーカーのファスナーを下ろした時、インナーとして現れたのは、有名なお菓子のパッケージをもじったパロディTシャツだった。

そのパロディ自体はクスッ、となるくらいのささやかなネタだったが、これからそういうことをする、という雰囲気の中、ウケ狙いなどしなそうな彼女がそんなTシャツを着ているという、完全な不意打ち状態だった為、涙が出そうなくらい大笑いしてしまった。

「出オチならぬ、『脱ぎオチ』狙いました。」

そんな彼を見て彼女は満足そうに言った。普段見ない彼女のドヤ顔が新鮮で嬉しく思うも、『ん?』と疑問が涌き上がる。

「・・・今夜、俺に脱がされるつもりだったっていうこと?」

「!?!?・・・や、違っ・・・。」

衣緒はハッとしてうろたえる。

「でも、そうならなければ成立しな・・・。」

もっともな指摘は激しく動揺した彼女の声に遮られる。

「や!今日とかじゃなくて、いつそうなってもいいように下に着て・・・あっ!や、そうじゃなくて・・・!」

「いつでも脱がされる準備万端だった・・・?」

「も~!!」

少しいじめてみると、彼女は真っ赤な顔を隠すように布団にもぐってしまった。

「ごめんって・・・。」

布団をめくると中でさらに手で顔を隠している。

「・・・笑ってほしかったんです・・・最近忙しそうだし。」

「・・・ありがとう。」

その気持ちが嬉しくて想いが溢れる。

布団を一気にはがし、顔を覆う手を掴んで離しベッドに置くと、熱くなった顔のあちこちに口づけた。
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