浅葱色の約束。

最後の嘘





この蝦夷の地で初めて私は18歳を迎えた。

今まで京の町で数人から祝われた誕生日も、今年はたった1人。



「おめでとう」



変わらずあの頃のように言ってくれるその人が居るだけで十分だった。

プレゼントなんか無くていい。
ただ、一緒にいれさえすればそれで。



「18か…。お前はずっとガキのまんま居るような気がしてたんだがな」


「ふふっ、それ前に沖田さんにも言われたよ」


「やっぱりか」



それからまた、冬がやって来た。


やっぱり北の地。
とてもよく冷える、とくに夜は。

こんな時間になっても、その一室の先はまだ明かりがついているから。



「てめえもそろそろ休んだらどうなんだ」


「土方さんがそれ言う?」



“も”って、休んでる人が言う言葉なのに。


土方さんは相変わらず筆を手放すことなく、書物とにらめっこ。

そんな端に湯飲みを置くぐらいしか出来ない無力さがちょっとだけ悔しい。


「休んで」なんて言っても聞いちゃくれない人。



「風呂でも入って身体あっためて来いよ」


「…今はたぶん、まだ他の人が入ってるから」



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