【完結】私に甘い眼鏡くん
真面目なふたり
時は流れ、五月。
クラスの雰囲気にもだいぶ慣れてきた。


「おはよー」
「おう、おはよ」


春川はもちろん、他の男子ともそこそこに話ができるようになった。特に春川は文系クラスの授業での席が隣で、話す機会も多い。


「望月、古典のノート見せてくんね?」
「また予習してないの?」
「頼む! 部活遅くまでやっててさー」


しょうがないな、とノートを取り出す。これももう日常。


「おはよー二人とも」


登校してきたなっちゃんと挨拶を交わすと、彼女も春川と私の予習を写し始める。
少し経って、東雲くんが教室に入ってきた。誰にも気づかれないような静けさで。

間違ってても責任とらないよと二人に念押しし、彼のもとへ向かう。


「おはよう東雲くん」
「おはよう望月。また数学か?」
「えへ。教えてください」


彼に数学を教えてもらうのもまた、日常。


「じゃあ英語のノートと交換。訳自信ないから」
「ありがとー!」


専攻は違えど、共通科目を助け合ったり、苦手な理数の面倒をみてもらっている。

東雲くんは理系クラスの中でも数学はかなりの上位者という噂を聞きつけた私は、新学期早々によくわからなくなってしまった数Ⅱの質問を不躾にも問いかけた。

最初こそ戸惑っていたようだったが、今はもう慣れっこで、私にも予習を見せるようせがむレベルに慣れてくれた。

まあ、それだけだけど。結構上々な滑り出しをしてるのではないかと思っている。



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