ゾーイ・テイラー〜終幕、のちにキス〜
始まりのキス
戦いはロネたちの勝利で幕を閉じた。ユミルは警察に行き、全てを話して逮捕された。ゾーイのことは世界中の人に知られることになってしまったが、ロネたちがゾーイがいい人であることなどを話したおかげでゾーイに対する差別はなくなっていった。

平穏な生活になってから数日、ロネたちは警察に事情を聞かれたり、新聞記者から取材を申し込まれたり、忙しい毎日だった。今日はやっとゾーイに会える。ロネは胸を高鳴らせていた。

「ゾーイ、来たよ!」

ロネがそう声をかけると、「ロネ!」とゾーイが抱き付いてくる。男性のような格好ではなく、細いウエストにリボンを結んだベージュのワンピースだ。

「そのワンピース、どうしたの?」

ロネが訊ねると、ゾーイは「ナタリーがくれた。……似合っているか?」と首を傾げる。ロネは「似合ってるよ!」と言い、ゾーイの頭を撫でた。可愛い服を着ているゾーイを見ていると、ゾーイはもう解放されたのだと伝わってくる。
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