寵愛紳士 ~今夜、献身的なエリート上司に迫られる~

「雪乃って、いくつだっけ」

晴久は食べながら尋ねた。

自分より明らかに若いのに、主婦のように短時間で料理してみせた雪乃が単純にすごいと感じたのだ。

「二十六です」

「え、すごい若いな。俺はもっといってる」

雪乃はコクンとうなずく。

「知ってます。三十二歳でしたっけ」

「……なんで知ってるんだ?」

言ったっけ?と頭の中で遡ってみるが、年齢の話をした覚えがない。

「あ……すみません、仲良しの先輩が詳しかったので……」

晴久は、小山の彼女だとピンと来た。

(例の、小山に余計な情報を提供している彼女か)

お人好しな雪乃が噂好きの先輩の発散に付き合わされている光景が容易に想像できる。そして小山の顔が浮かんだところで、同時に、彼が昼間言っていた「雪乃に好きな人ができた」という話も思い出した。
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