病んでる僕と最強の勇者たち
出会いの街にて
僕はついにベルミータ国から西に200キロのところにある出会いの街にたどり着いた。



シェーラはこの街に最強の勇者たちがいて、僕の仲間になってくれると言っていた。



出会いの街は、闇に包まれているベルミータ国とは違って、活気に満ちた賑やかな街だった。



この街の人たちは日の光が差す街の中で、希望に満ちた目をし、楽しそうに生活している。



(もしも、ベルミータ国が日の光を取り戻したなら……)



僕はそう思いながら、悲しみに沈んでいたフローラの表情を思い出していた。



(そしたら、ベルミータ国にも明るい笑顔が戻るに違いない。

それを成し遂げるのが、僕に課せられた大事なミッションだ)



僕は闇に包まれたベルミータ国に日の光を取り戻すという壮大なミッションを思う度に、心からワクワクしている自分に気づいた。



元の世界ではアニオタの引きこもりで、友達すらいなかった但野明彦が、最強の勇者たちと闇に包まれた国を救うというカッコいい設定の中で生きてるということがまるで夢みたいだ。



そして僕は賢者という憧れの上級職も気に入っていた。



だって賢者は、剣と魔法の両方を使いこなせる最高にカッコいい職業だから。



青色と金色の二色に彩られた賢者のローブを身にまとっている僕は、誰から見ても賢者であることがわかるだろう。



まだモンスターと戦ったことはないけど、僕って本当に強いのかなぁ。



戦うことは怖いけど、僕も一度、戦ってみたい。



僕がそんなことを思って街を歩いているとき、僕の背後から女性の悲鳴が聞こえてきた。
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