諦めた心

③··日和


母が落ち着いてから先生と
今後の話をした。

先生は、
「いつまでもいて良い。」
と、言ってくれたが
「私の知り合いが
総合病院の院長をしています。
腕も確かですし
そちらの病院には心療内科も
あります。
娘さんには、今後必要になるかと
思います」
と、言われた。

その病院は、自宅にも近くて
本当に助かった。

転院するときは、
先生も一緒に行ってくれることに。

母さんは、看護師さん達に
体の拭きかたや
体位の変え方を教わりながら
話をしていた。

左手は固定され
左足には、まだ包帯が巻かれていて
消毒をされている
頭の傷も。

背中とお腹にはガーゼが。

「正直、ここに運ばれたときは
ダメかと思った。
それほどに、
ひどい状態だった。」
と····
語る先生······

「だけどね······
この子の瞳から
涙が···つーっと···流れたんだよ。
それをみたら、助けなきゃ
ってね。
思ってしまって·····」
と、先生。

「だけど·····
どこの誰かもわからず
目覚めないお嬢さんを
助けてよかったのかと
思い始めていた時に
あなた方が見えたのです。」


「「先生、
本当にありがとうございます」」
と、何度も、何度も母と口にした。

看護師さんからは、
「先生じゃなければ助からなかった。」
と、言われ

「低体温で運ばれただけでなく
脾臓の手術も足の切断も
先生だから出来た。」
と、話してくれて
「でも、元気になりますよ
こんなに心配してくれる
お母さんとお兄さんが
いるのだから。」
と、言ってもらえた。

受け入れ先の病院から
「準備ができたので
   来院して下さい。」
と、島について二日目に
連絡がきた。

一華は、寝たままなので
船で運ぶ。

看護師さん達に
沢山お礼を言って
俺達は、島を後にした。
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