諦めた心
⒋回想

①··一華


旭とは、同じ事務所だが
お互いに忙しくて
会わないことの方が
多いので構わないか・・・・

今まで···何度も···
いろんな事を···諦めてきた····
恋も····命も····足も····
だが、仕事だけは····
諦め···なかった·······



**** 回想 ****


兄・日和が大賀 怜を
我が家に連れてきたのは
私が中三の時

その時は、日和の友人を初めてみた
としか、思っていなかったが·····

高校二年の時
進路を悩んでいた私に

私の父・佐野 達彦の仕事
検事の素晴らしさ
父、達彦の人間としての
素晴らしさを熱く・熱く語る
怜に可笑しいやら、嬉しいやら
怜は、私の父と同じ仕事に
就くのだと言っていた。

身長も高く187センチの怜は
中性の顔立ちをしていて
兄、曰くかなりモテルらしい。

そんな怜からの
私の父に対して恋をしている感覚の
ベタ惚れ振りに
父が羨ましいと思ったのが
怜に対しての恋心だと気づいた。

兄・日和も怜と変わらず183センチの
身長に短髪の黒髪に
鼻筋の通ったきれいな顔をしている。
目は切れ長でクールに見えるが
イケメンにしか見えない。

高校三年になって
怜に告白をすると
少し困った顔をしながら
了承してくれた。

ただ、
「きちんと大学に
入るまでは恋人らしいことは
しないけど、それでよいなら。」
と、言われて

その時、私は
まだ、自分が高校生だから
そう言ってくれるんだ。
優しいし、やはり、考え方が
大人なんだなぁ···
·····なんて····有頂天になっていた。

だが····それは·····
怜が尊敬する私の父を尊重し
父とより深い関わりが欲しくて
言っていたことにも気付けない
·····子供だった·····
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