君がいたから

悪化する病


「………ん? 」

手に温かさを感じて目を覚ます。

私、生きていたんだ。

ホッとして、
手の方に視線をうつしてみると、
眠っている蓮に手を握られていた。

やっぱりこの温もり安心する。


だけど、蓮の顔を見た瞬間言葉を失う。


目の周りにはクマがあり
頬には涙のあと…


私が意識が失ったから…

理由はそれしか思いつかなかったから胸が痛くなった。


少しだけ、体の態勢を変えようとしたとき
蓮の手がピクリと動く。

起こしちゃって申しわけない…


そう思っているとビニール越しだけど、目の前に蓮の顔があった。


「結愛っ…目を覚ましたのか? 」


「蓮、私はもう大丈夫だよ
元気だから 」


真っ赤に充血した目
蓮のことだから、
こんな私のために泣いてくれたんだろう………


気分もそんなに悪くは無かったし、蓮には笑っていてほしかったから、最高の笑顔で返す。

なのに…まだ蓮は泣きそうな表情のまま。


「蓮、私のためにありがとう
もう安心して? 」


いつもと様子が違う蓮の顔をジーッと見る。



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