【タテスクコミック原作】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
これは業務命令ですが、何か?

 別に自慢にもならないけど、私は子供のころから一度寝入ってしまうと熟睡して朝まで目を覚ますことなんて、滅多になかった。

 そんな私が珍しく目を覚ましてみたはいいが、何故だかそこは見知らぬ部屋のベッドの上だった。

 やけに重たい瞼を無理やり押し上げて、何度か瞬きをしてみても。

 まだ寝惚けているせいで、ぼやけた視界には、温かみのある暖色系のダウンライトが仄かに灯る、やけに広い部屋の中がうすぼんやりと映し出されているだけだ。

 しかも、どこにでもある純和風の我が家の二階にある、猫の額ほどしかない激狭の自分の部屋とは似ても似つかない、アルバイトしていた老舗ホテルの客室を思わせるような、だだっ広い洋風の部屋だった。

 ――ここ、どこだっけ?

 これまたなんとも寝心地のいい広すぎる大きなキングサイズのベッドの上で、何故か仕事着であるスーツのままで眠っていたらしい私が、まだ酔いが残っているのか覚束ない頭をフル回転させていると。

「やはり、スーツのままでは寝苦しかったようですね? 少しお持ちください。今楽にしてさしあげますので」

 頭の片隅で、男性のものと思われる、これまた耳に心地いい優しい声音が聞こえてきた。
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