懐妊一夜～赤ちゃんを宿したら極上御曹司の盲愛が止まりません～

「すごく驚いたよ」

「だよね。私もまさかこうなるとは思っていなくて」

「茜ちゃんと芹澤の話で盛り上がってさ、そこからいろいろ話すようになって、つい先日お付き合いを申し込ませてもらいました。ねっ？」

「うん」

見つめ合うふたりの後ろには幸せオーラが漂っている。なんだか微笑ましくて、自然とこちらまで嬉しくなった。

「今日は蜜葉に笹原くんのことをちゃんと話したくてアネッロに誘ったの」

「そうだったんだ。話してくれてありがとう」

まさかのカミングアウトに驚いたが、ふたりが並んで座り、お互いを気遣い合う姿を目の前で見ていると、なんだかしっくり思えてきた。

「茜ちゃんにも大切な人ができたんだね。お幸せにね」

夕食どきの混み合った時間が過ぎて、手が空いたマスターが私たちの席に顔を出した。

「はい。ありがとうございます」

茜が頰を赤らめながら幸せそうに笑う。

「今度、副社長も誘って四人でどこか行こうぜ？」

笹原のそんな提案。偶然にも副社長との秘密の関係を知っているメンバーが集まる形になり、なにかの縁を感じている。

「行きたいね！　早く海外出張から帰って来るといいね。会いたくて仕方がないでしょ？」

「うん、まぁね」

照れ笑いを浮かべながら私はコクンとうなずいた。