ONLY YOU~過ちの授かり婚~
デジャブ
私は壬生さんの仕掛ける罠に協力するコトになり、夜の帳が下りたホテル近くの『スターカフェ』でもう一人の相棒と待ち合わせをした。

「遅れてすまない・・・」

「いえ、お待ちしていました」

黒髪をオールバックにセットして、銀縁の細いメタルフレームの眼鏡。
その奥に見える切れ長の瞳は怜悧に満ちて、自信に溢れていた。
一つ一つのパーツが整い、キレイな顔立ち。
堂々とした出で立ちから孤高のオーラを放ち、周りの人達が霞んで見える。

私は彼の強い魅力に引き込まれた。

「俺は伊集院純也(イジュウインスミヤ)だ。よろしく。蓮見乃彩さん」

「貴方は『帝和銀行』のと、とと頭取ですよね…」

「そうだよ」

突然現れた『帝和銀行』の頭取にどう接すればいいのかわからなかった。

ともかく粗相がない様にしないと。

「純也、いつものヤツでいいか?」

「あぁ」
壬生さんは頭取を名前で呼び捨て、彼と入れ違いに席を立ち、カウンターに行ってしまった。
彼は私の目の前に腰を下ろした。
「初めまして…お世話になっています」

「直接ではないが間接的にお世話になってるな…」

「はい」



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