婚約破棄するはずが、一夜を共にしたら御曹司の求愛が始まりました
婚約履行へのステップ4
その日。宗介は朝から気分が良かった。紅の気持ちが、少しづつ自分に向いてきているのを実感できるからだ。彼女の家での同居生活はやはり正解だった。宗介の新居で一緒に暮らせるようになるまでは、あともう一歩といったところだろうか。

「ご機嫌ですね、社長」

 大地に声をかけられて初めて、宗介は自分の口元が緩んでいることに気がついた。

「まぁね。この後の仕事がうまくいけば、更にいい日になるなぁ」

 宗介は大地と、現在の彼の上司である広報課長の松野とともに会議室へと向かっていた。
 立花モモのCM撮りを来週に控えての最後の打ち合わせだった。撮影監督であるCMディレクターから演出についての説明やモモへの演技指導が行われる。
 普段は広報課にすべて任せているのだが、今日だけは宗介も出席することになっていた。

「お世話になります。今日はよろしくお願いします」

 会議室を開けると、モモをはじめとした関係者はすでに着席済みで、宗介たちの到着を待っていたようだった。

 挨拶もそこそこに、プロジェクトの舵取り役である広告代理店の担当者が話を始めた。茶髪に派手めなスーツで若く見えるが、宗介より年上だろう。仕事ぶりはしっかりしていて安心できた。
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