勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。
「その昔、西園寺家と九条家の縁談があったのだが



残念ながら、うまくはいかなくてな」




「それ以来、いつかは両家で縁談を……と願ってきたものの、



なかなか年齢の近いものがいなかったり、



子どもが男ばっかりだったり、女ばっかりだったりと、



どうにも整わず……」




「だからって、どうして俺たちが……!」




「そ、そうだよ! 



それに、九条さんの許嫁はお姉ちゃんでしょう?」




すると、おじいちゃんに鬼の形相で睨まれた。




「真桜の許嫁、というよりは、



西園寺家と九条家が決めた許嫁だ。



千里くんの相手が真桜だろうが彩梅だろうが、


なにも問題はないだろう」



……そんな、めちゃくちゃな‼




あ然としていると、


こんどは九条さんのお祖父さんがにこやかに語りだす。




「千里が生まれてしばらくして、


西園寺さんのところに女の子が生まれたと聞いてね。


あのときは、嬉しくて西園寺さんと朝まで盛り上がってねえ。


そのときに、お互いの孫を結婚させようと、


許嫁として約束したんだよ」




穏やかに語ってはいるけれど、


……つまりは酔っぱらった勢いってこと!?




お姉ちゃん、お見合いが嫌で


アメリカまで行っちゃったっていうのに、そ


んなことがきっかけだったの!?




 し、信じられない……!




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